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2023.11.14

スマートに社会善。海洋ごみを減らすバッグ。

インドネシアは世界の中でも海洋プラスチックごみがとても多く、深刻な社会問題になっています。国として2025年までに海洋プラスチックを70%削減する方針を掲げているのは素晴らしいことですが、その達成までは厳しく長い道のりです。そのインドネシアの海洋プラスチックごみに真っ向から向き合って、スマートなバッグを作り出した、ドイツ出身のサーファーのGlobal Ocean Transformation BAG(略してGOT BAG:ゴットバッグ)のストーリーをご紹介します。

美しい自然の裏側

世界的に深刻な海洋プラごみ問題。

インドネシアと聞けば、アジア随一のビーチリゾートとして、日本人にもなじみ深いバリ島。砂浜ビーチ、ワールドクラスのサーフスポット、海中の素晴らしい景色で知られています。綺麗な海と緑に囲まれ、伝統的な寺院・文化的な様式を用いたホテル。そんな自然の中にもさまざまなエンターテインメント施設、レストラン、カフェ、スパがあり、年間約200万人が訪れています。

一方で、インドネシアは海洋プラスチックごみの問題を抱えています。2022年、インドネシア内のごみ総排出量は6,850万トン(2021年日本のごみ総排出量は4,167万トン)。海洋プラスチックごみの流出量は中国に次いで世界ワースト2です。

バリ島の大自然に溢れているイメージとは裏腹に、観光客や人口増加に対してごみ処理やリサイクルのインフラはぜい弱なままで、河川から海へ大量のごみがあふれ出しているのが現状です。このままでは美しかった海がひとの手によって汚れていく一方です。

インドネシアの海洋プラスチックごみを拾い集めて。

自分たちを育んでくれた海を守りたい

GOTBAG(ゴットバッグ)創設者のベニー(Benny)とローマン(Roman)はドイツで生まれ、幼い頃からサーフィンやセーリングをして育ちました。自分たちの育った海が汚染されていることに危機を感じ、海を守るため、海洋プラスチックごみを再利用するプロジェクトをインドネシアで始めました。世界中の海はつながっていて、インドネシアは世界でもっとも多くの海洋プラスチックごみが流れ着く国のひとつだからです。

本来、海には自浄作用がありますが、ひとの手による汚染が進み過ぎると、取り返しがつかなくなります。今はもう取り返しがつかなくなるギリギリの時点です。

海の生き物たちは海洋プラスチックごみを間違えて食べてしまいます。亀や鯨だけではありません。今や、すべての魚や鳥の口の中に細かくなったプラスチックごみが入っているといっても過言ではありません。マイクロプラスチックといって、海に落ちたプラスチックは強烈な太陽光に晒され、波に打たれ、長い時間をかけて、細かくチリのように砕かれていきます。それだけではありません。細かくなったプラスチックは環境に放出された有害物質を吸着してしまうので問題なのです。それを食べた動物そしてニンゲンの、健康を脅かす発がん物質となり、生態系を壊す深刻な環境問題の一つとなっています。今のまま、増える海洋プラスチックごみの量に、減らす、回収する量が追いつかなければ、2050年には海洋プラスチックは海の中の魚と同量になるとも言われています。

海を思う気持ち、海洋プラごみ減らしたい気持ちを集めて、GOTBAG(ゴットバッグ)はできています。

2016年、そんな現状を自らの手で変えようとしたベニーとローマンは、プラスチックゴミの回収と分別を行う会社を、海洋プラスチックごみの漂着世界一と言われていたインドネシアに設立しました。

約1500人の漁師さんたちとNGOの方たちに協力してもらって、回収、分別、分解し、粒状にしたあと、糸にしてバッグの生地を作るのです。ドイツ素材メーカーCovestroと共同開発した、環境に優しいコーティング剤を使用して、通常のコーティング剤に比べ、環境負荷を低減させつつも、耐水性の高い仕上がりを実現しました。

大事なのは商品開発だけでなく、地元経済が健全に廻ることも考えて事業を設計していること。インドネシアに設立された現地法人は海洋プラごみの回収と分別だけでなく、現地スタッフの雇用の創出、教育、地域活性化活動も合わせて行っています。

GOTBAG(ゴットバッグ)をみんなで使って海洋プラゴミを減らそう、の仕組み。

海洋プラスチック生まれだからこその機能性

新製品の開発に約2年間の綿密な研究を費やし、ミニマルなデザインと耐久性を兼ね備えたサステナブルバッグが仕上がりました。 GOTBAG(ゴットバッグ)のロールトップバックパックを一つ生産するために、約3.5kgのプラスチックが海から回収され、リサイクルされています。

さらに2022年、GOTBAG(ゴットバッグ)は330トンの海洋プラごみをインドネシアで回収、同時に一万本のマングローブを植林しました。なぜマングローブを植えるのかというと、ポイ捨てや流出で捕まえられず残念ながら街から出てしまったプラごみを海へ出る前にいったん絡め取って時間稼ぎをする役割があるそうです。それにしても流出する前にしっかり回収することがまず必要ですけどね。

海を思う気持ち、海洋プラごみ減らしたい気持ちを集めて、GOTBAGG(ゴットバッグ)はできています。

海や海岸で拾われて回収された海洋プラスチックごみからできたGOTBAG(ゴットバッグ)。よく考えられているな、海に配慮する人はニンゲンにも配慮するんだな、と思わせる、シンプルで機能的、真面目ストイック、スマートカジュアルなデザインです。ビジネスシーンでも便利な取り外し可能なPCケースがついていて、100%防水仕様のロールトップバックパックライト(あうんエシカル百科店shopで販売中)は、急な雨に降られてもPCやタブレットなどのガジェットを心配することはありません。学生さんや外出や外での作業をする仕事の方にもおすすめです。とっても軽くて、長時間の移動も楽々。デザイン性を最大限に抑えているため、ドリンクフォルダーや、スマホやタブレット・手帳など細かいポケットはありませんが、登山や旅などのアウトドアにも耐えられる作りですが、実は街使いにも最適です。

たくさんの生き物が生きていける、それぞれ子どもを産んで育てられる、そんな海でずーっとあってほしいから。もし新しいカバンを選ぶことがあったら、街でも野山でも使える、海を守るバッグをあなたの選択肢のひとつに入れてください。

日々の生活のなかでも海のことを考えてくれる人がひとりでも増えると嬉しいな。
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