浅草合羽橋に店を構える料理道具店「釜浅商店」、ゼネラルマネージャーの和田洋一さんへのインタビュー、後編です。
すべては、お客様と職人さんとの会話から
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お客様とのコミュニケーションを通じて生み出されるこれらの商品の背景には、もちろん難しい局面もあります。作りたいイメージが描けたとしても、技術的な課題や、作り手の数の減少などが課題となることもあります。和田さんは、熟練の職人さんたちが時間と手間をかけて作り上げた道具を販売する立場として、作り手の重要性を強く感じているといいます。
和田さん「作り手の数が減少している現代において、私たちが思い描くアイディアや商品を実現してくれる人が極めて少ないことが一番の課題だと感じています。なので、日本のモノづくりと密接に関わる商品を多くの人に手にとっていただくことで、少しずつでも作り手の方々に還元し、モノづくりの活性化に貢献したいと考えています。」
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そんな中でも、釜浅商店のアイディアが作り手に新たな気づきや機会を与えるきっかけになっているのかもしれません。釜浅商店が長年関わってきた職人さんたちは、前向きな人が多いといいます。和田さんは、道具づくりを進める際、職人さんと率直な意見を交わすことを心がけているそうです。
和田さん「職人さんとは、『本当はこういうものを作りたいけど、技術的に難しいから、こうしたら可能になるよね』という会話を重ねることがよくあります。最初は『それがなぜ必要なの?』と問われることもありますが、理由を説明すると理解してもらえるし、時には職人さんから新たな提案をもらうこともあります。職人さんにも、『できれば長く使って欲しいし、多くの人に使ってもらいたい』という思いがあるからこそ、お客様の満足度に繋がるものが生み出せているのだと感じます。」
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釜浅商には、海外からのお客様も多く、店内では様々な道具を吟味しながら購入していく人々の姿が見られます。海外のお客様に日本の良い道具を届ける際、釜浅商店では「海外の人に合わせない」ことを大切にしているといいます。
和田さん「お店にいらっしゃる方々は、日本人が普段から使っている道具を求めて来店する方が多いんです。ですから、外国人向けではなく、日本固有の道具の魅力を丁寧に説明することに力を注いでいます。日本人であろうと、海外の方であろうと、私たちが届ける道具は変わりません。なので、それぞれの道具の魅力をしっかりと伝えるようにしていますね。」
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販売員としての誇りとプロ意識を持ちながら、釜浅商店にしかない良理道具を生み出していく。お客様や職人さんとの丁寧なコミュニケーションを通じて一つの商品を開発していく姿勢とプロセスが、魅力的な道具を生み出せる理由なのです。
和田さんは最後に、今後の展望について次のように語って下さいました。
「我々は職人さんが手がけたものを販売する立場ですが、作り手がいなければ商売は成り立ちません。今後は、若い世代にも職人のモノづくりに興味を持ってもらうための工夫や、販売の立場から職人の育成にも力を入れていきたいと考えています。」