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2024.06.24

スタッフのエシカルな日常 vol.1 〜鎌倉野菜〜

梅雨入り前の6月最初の週末、鎌倉の友人を訪ねる為に横須賀線に乗って鎌倉に向かっている。一昨日まで日本列島を西から東に駆け抜けてきた台風1号は伊豆半島沖で熱帯低気圧になり、その低気圧もなくなり、今日は清々しい天気になった。

列車が北鎌倉まで来ると車窓の景色は一変する、北鎌倉駅前の美しく輝く新緑に囲まれた円覚寺に通じる階段が見える。列車は更に新緑の中を進んでトンネルを抜けると間もなく鎌倉駅に到着した。海外からのツーリスト含めて観光客で混雑する時間帯を避けて朝の8時過ぎに鎌倉駅の改札口を出た。朝の鎌倉駅前は未だ人も多くなく、静かな空気が流れている。この時間に鎌倉を訪れた理由は混雑を避ける為だけでなく、妻に頼まれた『鎌倉野菜』を買うことがメインの目的であった。正確には頼まれていないけれど、妻には内緒の事前リサーチである。リサーチの後は鎌倉に住んでいる友人と極楽寺駅前に最近開店した蕎麦屋で昼酒と蕎麦を愉しむことを約束している。どうもその蕎麦屋で出す天ぷらも美味しいらしく、特に『鎌倉野菜』の天ぷらが美味しいと友人は言う。今日はその『鎌倉野菜』が主役の鎌倉訪問である。何故鎌倉野菜が主役か?・・・

妻が先月、友人たちと鎌倉を訪れた際にランチを頂いた由比ヶ浜海岸近くのとあるイタリアンレストラン、そこは女性シェフが一人でレストランを切り盛りしていて、その女性シェフがサーブしてくれた野菜をさっとボイルしたあの料理の味が忘れられないと妻は僕に何度もいうのである。その料理の独特の調理方法にもシェフのアイデアと腕が関わっているのは言うまでもないが、野菜そのものの素材のおいしさが際立っていたというのである。妻はカウンター越しに忙しそうに調理をするシェフに遠慮しながらも思わず聞いてしまった『すいません、このお野菜の料理はとても美味しく頂きましたが、お野菜の素材のお味もとても美味しくて・・・この野菜はどこで・・・仕入れた・・・野菜なのでしょうか?』シェフは調理しながら妻の質問に答えてくれた『有難うございます、これは地元の農家が生産した野菜を毎朝、市場で買ってくるのですよ』シェフはそれだけ言ってまた調理を黙々と作り続けていた『そうですか・・・有難うございます』と妻。彼女はそれ以上の質問は遠慮して、その日は満足してそのレストランを後にした。その日妻が鎌倉から自宅に帰ってきて僕に話した内容は想像頂けると思います。鎌倉での優雅で楽しい時間を過ごしたと散々話した最後に『貴方のお友達で鎌倉に住んでらっしゃる〇〇さんいるわよね、〇〇さんに是非聞いてみて欲しいの、鎌倉の地元で生産されたお野菜を買う為にはどこで売っているのか?是非聞いてもらっていい?』『ふーん、いいよ、O K、じゃ今度聞いておくね』

数日後僕は妻のリクエストを忘れないうちに鎌倉の友人に早速連絡して妻のリクエストの内容を友人に聞いてみた。友人は楽しそうに答えてくれた。

『そのイタリアンレストランは僕も何回か行ったことのあるレストラン、そのシェフが仕入れた地元生産の野菜を買える場所は特別な場所ではなく、一般の消費者も普通に買える街中の市場だよ。駅から歩いてほんの数分。地元の農家の方が4件くらい出店していて、恐らく地元に多くはなくても複数ある農家さんがローテーションで出店していている感じ、農家さんによって売るものが違うし、何回か通っているうちに、〇〇さんのところのトマトが美味しかった、ルッコラが美味しかった、今度はいつ出店するのですか?これは何ていうお野菜ですか?どうやって食べるのですか?なんて会話しながら買い物するのが楽しいよ。当然季節によって店頭に並ぶ野菜は違う、大きなハズレはないけれど、大当たりの美味しい野菜に出会う為には何回が通って農家さんそれぞれの得意な栽培の野菜を見極める楽しさもあるよ、朝一番には地元のレストランのシェフ達が来ていて、プロならではの目利きで手早く野菜を選んで、自分専用の大きなカゴに野菜を次々と運んでいる姿をいつも見るよ。一般の買い物客とプロのシェフが混在していて面白いよ、俺はさあプロのシェフ達がどういう基準で野菜を選んでいるのかを弟子の様に盗み見みしてたりするんだよね、たまに*笑。市場の場所は駅から歩いてすぐ、パタゴニア鎌倉店の隣だよ、地元では農協市場とか、市場とか連売所とか呼び名は色々、確か正式名称は・・・『鎌倉市農協連 即売所』だったかな。鎌倉駅の改札口を出たら真っ直ぐ歩けば若宮大路に出るので、その大通りを八幡様と反対の右側、海側に向かって歩いていくとパタゴニアの隣に市場があるよ』と友人が僕に電話で語ったのが昨日。

そして僕は今、その若宮大路を海の方向に向かって歩いている。鎌倉らしいお寺の屋根が見える風景を横目で見ながらあっという間に市場に辿り着いた。

鎌倉市農協連即売所

『八幡様と反対の海の方に向かって・・・』という友達のガイドからもっと歩くのかと思ったらあっけなく到着、駅から若宮大路の信号渡って3分くらいだろうか。8時過ぎというのに週末ということもあって既にお客さんもいるし、友人の言っていたプロシェフらしき人達も数人、既に大量の野菜を選んで、自分専用の大きなバスケットに運んでいた。確かに4件から5件の農家さんがお店を出していて、売っている野菜の内容もまちまちで見ていて楽しい。この季節ならではの色な綺麗な珍しい野菜が雑然と並んでいる。

さて僕は何を買うべきか?実は妻には鎌倉野菜が買える市場が特定できたことを内緒にして出かけてきた、だから今日『鎌倉野菜』買って帰って彼女を驚かせてやろうと思う。

そう思うと野菜選びが楽しい、妻の顔を思い浮かべながら、さて何を買おう、次回は妻と一緒に来ようと思いながら、まずは最初に手を取った野菜は人参、葉っぱが大量についている人参であった。『この葉っぱ食べられんですか?』と僕が売り手の農家さんに聞く、店番の未だ若い店主らしい人が答えてくれる『天ぷらとか・・・』なるほど、その隣にはこれも大ぶりのフェネルがある、これも珍しいから買っちゃえい。さて自宅まで持ち帰る『鎌倉野菜』は一体何種類になるやら、大量に買っていくと妻にこんな沢山のお野菜どうするの?なんて怒られるかもしれない。でも今の僕はすっかりこの市場での『鎌倉野菜』探索を楽しんでいる。6月1日午前8時38分。鎌倉市農協連即売所にて、天気快晴。

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